北杜市のスロ−ライフな歩き方

第11回 【オオムラサキ自然観察遊歩道 2006.6.1】

〜八ケ岳南麓の里山の恵みを満喫〜

(歩行時間2時間30分)


◇ ◇ ◇ ◇飛翔を待つ国蝶オオムラサキ◇ ◇ ◇ ◇ 

 国蝶オオムラサキの研究と観察の拠点「北杜市オオムラサキセンター」は、JR日野春駅近くに位置します。今回 歩くオオムラサキ自然観察遊歩道は、日野春駅から一駅先のJR長坂駅まで約10キロのコースとして整備されています。森林浴に、昆虫ウオッチングに、草花観察に、黄葉観賞に、山岳展望にと、四季折々の楽しみ方が出来るコースとして親しまれています。
 どちらから歩いても看板が見やすく整備されており安心ですが、長坂駅からスタートした方がやや下り坂気味となって、日野春駅からスタートするよりも比較的体力を使いません。オオムラサキセンターも日野春駅近くにあるので、ゴール後ゆっくり見学も出来、時間調整等にも 便利です。車で来た方は長坂駅前の長坂総合支所に停めて下さい。帰りは日野春駅から一駅戻れば良く、便利です。それでは さっそく、長坂駅前からスタートしましょう。
 遊歩道マップが各駅、各観光案内所、長坂コミュニティステーション、オオムラサキセンター他に置いてあります。手に入れてから歩けば一層楽しい一日となります。

 先月のウオークも長坂駅前からスタートしましたが、今回は 駅を背にして右へ行きます。

ガソリンスタンドの前を通り過ぎて警察署と長坂総合支所の間の道を真っ直ぐ行くと間もなく

←こんな看板があります。これから要所要所に出てくる遊歩道の案内看板です。大変心強い味方です。

これを頼りに歩けば道を間違えることはありません。「日野春駅」を目指して歩きます。

すぐにこんな景色が見えてきます。右に見えるJRのガードを潜ります。

このコースの一番危険なところです。車に気をつけて歩きましょう。

 

周辺はただ今工事中。上に見える車道の大きなカーブは改良されるでしょう。

   このガードの狭さはそのままのようですが・・・。ガードを潜ったら左折です。

道は山梨県立農業大学へと入っていきます。

大学の敷地に沿った道は、春は桜並木、秋は銀杏並木がきれい。夏は木立が日陰をつくって、四季折々気持ちの良い通りとなっています。

大学入り口の角にこんなポールが立っています。「自然観察遊歩道 0」と書かれています。

遊歩道上に200メートル毎にあります。「オオムラサキ有視界飛行調査」に使うポールです。毎年地元の学生がオオムラサキセンターと協力して飛翔するオオムラサキの個体数を調査しています。

農業大学の畑に沿って歩きます。

天気の良い日は甲斐駒ケ岳をはじめ、南アルプスの勇姿が展望できます。

すぐに右折の看板が見えて、いよいよ道は森の中へと入っていきます。

ここにも有視界飛行調査用の白いポールが立っています。看板が見当たらない時はこのポールを追いながら歩けば便利です。

番号が0番から40番までふってありますので、自分が今どのくらいの所にいるか分かります。

気持ちの良い道ですが、少し急な下り坂ですので気をつけましょう。雨の翌日などは大変滑りやすくなっています。

はやくもカッコーやホトトギスの鳴声が聞こえてきて、里山歩きの気分が盛り上がります。

すぐに橋が見えてきます。深沢橋です。ここらあたりがまず最初の「オオムラサキ観測ポイント」です。

蝶も人と同じく暑い日中はキライで、外にあまり出てきません。葉の裏に隠れて羽を休めていたりしますが、ここは深沢川の水の流れがあるので涼しいのでしょうか、割と良く飛翔している姿が観測されます。

人もちょっと休憩。急な坂を神経を使いながら下りてきたので、休みましょう。

水分を補給しながらオオムラサキを探しましょう。ついでに記念撮影も。

 オオムラサキ出現の最盛期は7月中旬頃です。その後は段々数が減っていきますが、メスは8月に入っても見ることが出来ます。左のムラサキ色の方がオスで、右の茶色の方がメスです。
 交尾すると間もなくオスは死にますが、メスは産卵という大事業があるので、メスの方が長生きします。自然界ではだいたい 生き物はそういう具合になっているようです・・・。

 オオムラサキの生態についてはネット上で簡単に情報が得られます。又、全国に幾つも「オオムラサキの里」と呼ばれる地域があり、それぞれに情報を発信しています。試みに福島県鮫川村のHPを見てみましょう。その名も「オオムラサキ徹底分析」となかなか力が入っています。
 それによりますと、オオムラサキは「国蝶」とはいうものの、「蝶類同好会」という任意団体が昭和8年にすったもんだのあげく決めたもので、特に法律で規制されているものではないそうです。昭和32年に日本昆虫学会もそれを認めたということですが、それは、今後この二つの会が話し合えば国蝶が変わることがあるということを意味します。
 私見では、日本全国にあまねく見られて、なおかつ美しいという意味で国蝶に推薦されたようですから、今後とも国蝶の座を他に譲らないよう、日本中で保護していかねばなりません。希少性のある蝶となってはいけないのです。
 ちなみに「蝶類同好会」で国蝶を決めるとき、ミカドアゲハやアゲハ支持の声もあったそうです。なるほど、もしオオムラサキでなかったら、と考えるのもなかなか愉快ですね。私ならアサギマダラを推薦しますが、貴方は?
深沢川に沿って小さな棚田が続く風景を眼下に見下ろしながら、木陰の道を行く。オオムラサキ遊歩道のハイライトの一つで、正面に南アルプス、振り向けば八ケ岳が見え ます。道々、解説版も用意されていますので、読みながらのんびり歩きましょう。

深沢川からマイナスイオン、木々の間からフィトンチッドが溢れて、大変爽やかな道です。

道端の草花や木々のみずみずしさに目をやりながら歩けば、故郷の道を歩いているような錯覚に陥ります。皆珍しくおしゃべりをしないで、思い思いに何かを感じながら歩いています。

所々にクヌギの木があるので、運が良ければ、クヌギの蜜をねらってオオムラサキが飛翔しているのが観察できるでしょう。

といってもまだ6月1日。

例年第一号の羽化は今月中旬です。

カッコウやホトトギス、ウグイスなどの声が棚田に木霊していました。アヤメが可憐です。

八ケ岳南麓は太平洋気候下の温帯植物体で、垂直分布では「アカマツ・クリ帯」に属します。この遊歩道沿いには約100種の樹木があり、最も多いのは、コナラ、クヌギ、アカマツ、オニグルミなどです。

オオムラサキの幼虫にとって必要なエノキ、エゾエノキは深沢川沿いだけで410本が確認されています。成虫に必要なクヌギ、コナラなどの広葉樹林は森林全体の60%になります。

道は山間の棚田から

深沢川に沿った明るい雑木林の道へと下っていきます。

川の周辺はオムラサキの観察ポイントとなっています。

新緑に黄葉に、四季すばらしい道です。

この橋を渡ると本日の難所です

難所の手前にある「サイカチの大木」

木にトゲが生えているちょっと変わった木です。

立ち止まって深呼吸などしながらちょっと木を眺めましょう。

ここから難所が続きます。

 

といっても10分程度の上り坂です。

ここを上ってしまえば、あとはラクチン。

マイペースでいきましょう。

上がりきった所の少し先に休憩所があります。「オオムラサキの森」です

 いままで見た草花などを思い出しながらゆっくり休んで下さい。遊歩道で出会う3月〜6月の代表的な花を紹介します。 自然観察遊歩道の名にふさわしいその豊かな植生に感激です。

ロウバイ

フデリンドウ

紅梅

サクラソウ

福寿草

クリンソウ

     

クロッカス

フキノトウ(綿毛)

ホタルブクロ

「オオムラサキの森」から先は空の大きく広がる日野の棚田の道です。

どちらを向いても展望が良く、八ケ岳、南アルプス、富士山が一望です。

正面は富士山です。

あちこちで歓声があがり、撮影大会が繰り広げられます。

 

甲斐駒ケ岳と鳳凰三山の雄姿にうっとり。

皆立ち止まってカメラを取り出しています。

素晴らしい光景の連続ですが、この道沿いでもう一つ忘れてはならないものがあります。

ブルーベリー畑です。

長坂町から始まった南麓のブルーベリーは今や北杜市全体に広がる勢いを見せています。遊休地などを利用したブルーベリー畑が、どこでも見られるようになりました。

南麓の気候、地質等が、ブルーベリー栽培に最適なのです。果実は7月中旬が最盛期です。

品質、生産量とも日本一です。

その品質は生で食べてみると分かります

 「ブル−ベリ−」というと反射的に「ジャム」という言葉が出てきませんか? これを「りんご」や「ぶどう」のような「普通の果物」つまり、「そのまま生で食べられる」果実として普及させようとして成功させたのが 北杜市長坂町の小尾さんです。
 果物屋の店先をよく観察すると、「りんご」や「ぶどう」等の果物は必ずその品種名で売られています。りんごなら「紅玉」や「ふじ」「つがる」、ぶどうなら「甲州」「マスカット」「デラウエア」という具合です。ところが長い間「ブル−ベリ−」といえば「ブル−ベリ−」という品種しかないような口ぶりで、私達は話題にしていました。しかしブル−ベリ−というのは品種名ではありません。「ラビットアイ」「ブル−レイ」「ア−リ−ブル−」等の品種名が無数にあるのです。「その種ごとの味があり、その種ごとの時期がある。それを知って欲しい。その品種名で売りたい」「生で食べられてこそ果実の真骨頂だ」その思いから独自に研究を始めて2 5年がたっていました。
 その成果は2003年全国のブル−ベリ−農家や研究者約500人を一堂に集めた「ブル−ベリ−シンポジウム(ブル−ベリ−サミット)」がここ長坂町で開催され たことで、お分かりかと思います。全国の農家が小尾さんの研究の成果を聴きに来たのです。山梨県には河口湖町というブル−ベリ−の先進地がありますが、ここ八ヶ岳南麓のブル−ベリ−が、土壌・気候・風土と小尾さんの熱意によって、その品質において河口湖を上回ったと評価を頂いたのです。
 その粒の大きさから「巨峰」と間違えたというような笑い話も伝わっています。又、他地域のブルーベリーしか知らない人が小尾さんのブルーベリーを見て「これはブルーベリーではない」と断固として言い張ったという逸話も伝わっています。
 では、そんな八ヶ岳のブル−ベリ−って一体どんな味なのでしょう?生食用のブル−ベリ−ってどんなものか?文章では書くことができません。その答えを見つけに、この夏、是非八ヶ岳南麓へブル−ベリ−を食べに来てください。

 ブルーベリー狩りでおいしい粒を見つけるコツを伝授いたしましょう

写真を良くご覧下さい。粒々の頭(お尻かな?)が割れていますが

この割れ口がキレイな星型になっているのが、間違いなく美味いのです♪

(おまけ・小尾農園の奥様お薦め、ブルーベリー品種別食べ方

さて、遊歩道に戻りましょう。オオムラサキ遊歩道はここらあたりで「 ショートカットの道」を通ることをお勧めします。MAPにもその道が記されています。

正規には「花水の碑」と書いてある方へ 行くのですが、正直に書くと全く面白くない道です。道中にオオムラサキも飛ばず、長い県道を歩かねばなりません。ここは全く正規の道を歩く必要はありません。ここで道路を横断します。

分岐が所々に出てきますが、必ず指導標がありますので迷うことはありません。常に「日野春駅」方面に向かえば良いのです。
ヤブカンゾウの咲く道。
雑木林の道。
変化に富んで飽きの来ないコースの終盤近く、ゴミ処理場の脇を通り抜ける所があります。

いつも不愉快な臭いを出しているのが残念です。画龍点睛を欠く、と言ったらいけないのかもしれませんが、100点満点のこのコースの唯一の弱点です。そのあたりの写真は割愛します。

左は、最後の休憩ポイント「生態園」です。

残ったお菓子やお茶を全部飲んでしまっても大丈夫。 ゴールはすぐそこです。

さあもう一息だ、と歩き始めると・・、道の右側に繁った木々の間から時折り遠くの町と国道が見え隠れしているのに気がつきます。白州の町と国道20号線です。

随分小高い所を私達は歩いているようだ、と気がつきます。

肉眼では眼下に国道を走る車なども見えています。

ここは七里岩と呼ばれる台地の上なのです。20万年前、八ケ岳が噴火した時に大規模な山崩れがありました。その時岩屑流(がんさいりゅう)と呼ばれる土砂が甲府盆地まで達する勢いで流れ出て形成されたのです。日本最大規模の岩屑流だそうです。

一見なんの変哲もない遊歩道を歩いているようですが、この道を外から見ると、実は七里も続く下のような岩の台地の上を歩いていたのです。

ちょっと信じられませんね。この岩屑流は富士川と塩川に挟まれて少しずつ削られていき、現在のような形になったということです。

八ケ岳から延々と続く七里岩

これを自然の要塞と見立てて、武田軍はこの台地に山城を建てました。

七里岩の上のウオーキングもそろそろゴールです。

ここで道は真っ直ぐ続く道と左へ折れる道とに分かれます。真っ直ぐ行くと日野春駅へ600メートル。左折するとオオムラサキセンターへ600メートルです。

今日はオオムラサキセンターへの道をご案内します。

日野春駅方面へは案内看板が続いていますので直進して迷うことはありません。安心してお帰り下さい。車を長坂へ停めた方は1駅戻って下さい。

日野春駅には蒸気機関車の頃使った「給水塔」が残存し、鉄道フアンには必見ものとして有名です。又、駅前には信玄の旗掛け松があり、日本で最初の「公害訴訟」のシンボルとして時折法律を学ぶ学生達が教授に連れられて見学に来ていたりします。なかなか見所の多い駅です。

さて、オオムラサキセンターへ行く近道をお教えしましょう。看板を「オオムラサキセンター」方へ曲がって少し歩くと、ブロック塀の上にドラえもんの看板が見えます。この角を曲がるのです。よく注意して歩いて下さい。おしゃべりに夢中になっていると見過ごします。
その道を数百メートル進むとT字路になりますので右折。

するとこんな大きな看板と陸橋が見えます。

この陸橋の下を潜るのです

潜ると踏み切りになっています。

踏み切りの向こうがもうオオムラサキセンターです。

渡ったらすぐ左折して下さい。

こんな板の道が続きます。園内はこのような歩道が縦横に続き、自由に散策できるようになっています。

細かな分岐が幾つもあります。園内ですから迷うのも楽しい道ですが、まずはゴールしましょう、「センター」と書かれた方向へ進んでください。

屋根が蝶々の形になったセンターに到着です。足を投げ出して休みましょう。

お疲れ様でした。

 一息ついたら、園内散策をお勧めします。

 奥には川も流れ、水車も廻っていて、バードウオッチングの方にも、草花等自然愛好家にも、昆虫好きの少年達にも、山里の生活を懐かしむ方々にも、どなたも満足間違いナシの空間が広がっています。 自然観察のための色々な仕掛けが楽しい園内です。

 それでは、本日のコースご案内はここまでとさせていただきます、楽しんでいただけましたか。是非実際に歩いて、八ヶ岳南麓の里山の豊かさを実感してみて下さい。
 コースMAPは駅や案内所で手軽に手に入れることが出来ます。いつでも自由に歩けます。指導標が懇切丁寧に設置されているので安心です。オオムラサキセンターは月曜日を除く毎日開館されていますので、このコースに関するどんな質問に もお答えしています。
 八ケ岳歩こう会では毎年7月にこのコースを使ったウオーキング大会を開催しています。皆様の参加をおまちしています。又、コースのご案内も可能な限り行っています。人数日にちなど決まりましたらへお問合せ下さい。

■付録
 オオムラサキセンター内に発生するホタルについてご案内いたします。
 お近くにお住まいの方は、6月から8月にかけて、夜間の来園を是非お勧めします
 南麓のホタル生息数はおそらく随一ではないでしょうか。

園内の沼にヘイケホタル

川にゲンジボタルが出るのです

 筆者は長坂町に住み、近所のホタルを観察に出かけては「ホタル観察日記」というものを書いていますが、一昨年この川で見たおそらく数百匹の乱舞を目撃した時は驚きました。
 しかも、同時点滅をするのです。まるで何十本の大きなクリスマスツリーが点滅しているかのような光景が、川の向こうの森で一斉に展開されたのです。夢うつつでした。2004年の6月20日のことでした。去年は行きそびれましたが、今年は行くつもりです。運悪く大発生に当たらなくとも、この川には6月 上旬くらいホタルがでますので、是非ご来園下さい。又、ヘイケホタルは源氏より遅くまで発生しているので、沼の方なら7月一杯観察可能です。年にもよりますが、同じ町内の標高の高い地区では8月中旬までホタルを見ることが可能です。
 〜ホタル観察会のお知らせ〜
 当エリア近隣ではオオムラサキセンターをメインとして、ホタル観察会が毎年行われています。今年 のスケジュールをご覧下さい。ほたるコンサートも予定されています。

(参考資料)

デジカメママのきママなウオーキングHP

北杜市オオムラサキセンターHP

オオムラサキ徹底分析HP

(コースのお問合せ)

八ケ岳歩こう会 0551-32-5888