白炭は何故白いのか(1) ・・・炭材の確保・・・
 
・山割りと山分け
 須玉町の増富地域を例にかつての炭焼きの様子をみてみましょう。地区では県から払い下げてもらった山があると組合員の数にあわせて区分けしなくてはなりません。誰をどの場所にするかは「くじ引き」か「せり」によって決めたそうです。これを「山割り」とか「山分け」とかいいます。一区分はだいたい150俵から200俵程度の炭が焼ける広さだったそうです。良い炭が焼けるナラやクヌギのような木が多い場所か雑木が多いのか、また仕事がしやすい場所かなど様々な条件によって等級に分けて決めていました。そのため「山分け」のある日の朝などは良い山が当たりますようにと神頼みまでして心引き締まる思いで出かけたそうです。
・炭釜づくり
 増富地域では黒炭と白炭の両方を焼いていましたが、白炭が主役でした。白炭は高温にも耐えうる石釜を築きます。炭釜づくりはまずいちばん仕事のしやすい場所を選び「どいぼり」と呼ばれる整地を行ないます。沢山の石を集め釜を包み込むようにして頑丈な釜を築きます。一般的な釜の大きさは幅四尺、奥行六尺(約1,3m×2m)で「シロクノカマ」と呼ばれ、一度に四俵から五俵が焼けるものです。
・炭材の切り出し
 炭材の切り出しには「ノコ」と「腰ナタ」「ウケヨキ」などが使われました。急な斜面での作業には相当な危険を伴う仕事でした。切り倒した木は、腰ナタで枝を払い三尺五寸(約105CM)の炭材に玉切りします。
・「あらし」
 炭材を窯元に集める事を「あらし」といいます。白釜では釜に前の火が十分に残っている間に釜元に炭材を集めておかなくてはなりません。山肌をすべらしたりころがし落したりして集めたのです。
・「木ぞろえ」
 直径が15CM位以下のものはそのままでも焼けますが、太い物は二つ割り、四つ割りにしなくてはなりません。割斧(わりよき)で割れ目を入れそこへ金矢をうち込み割っていきます。
 
白炭は何故白いのか(2) ・・・手順を知ろう・・・
 
・「立て込み」
 白炭釜へ炭材を一本づつ入れていく作業です。「タテマタ」という道具を使い炭材を起こしながら奥から順に丁寧に立て込んでいきます。「コジボウ」という道具で炭材に隙間の出来ないように並べて行きます。これは炭質と生産量をあげるためにとても重要な作業なのです。釜に火が入っていると、熱さで釜口から2M以内には容易にちかづけないので根気と熟練を要するとても難しい仕事です。
・「火入れ」
 釜が熱いときには、立て込みが終るとすぐに炭化をはじめます。釜が冷えているといは釜口で口火を炊き四,五日かけて釜内の温度を上げます。釜口まで立て込み後、釜から出る煙の状態を見ながら釜口を閉めます。釜口はやはり石と泥で塞ぎます。ただ一箇所だけ空気穴を開けておき、煙の状態を確かめながら調節します。こうして約一昼夜かけて炭化させるのです。
・「風をくれる」
 煙に青みがかかってくると、炭化の終りの知らせです。煙の様子を見ながら釜口を塞いでいた石を外していきます。同時に煙だしの穴も調整をします。この作業は終始煙の状態を確かめながら行なうため、経験と高度な眼力を要する技なのです。「風をくれる」と呼ばれるこの作業は、炭を堅くし一酸化炭素などのガスを抜くために行ないます。
・「かぎ出し」
 煙が切れると釜口を全開にし、「カキダシ」と呼ばれる道具で真っ赤に燃える炭材をかき出します。数回に分けて行ないますが、炭は1300℃にもなっているのですからとにかく暑い仕事です。釜口までかきだしたら5分ほど更に風をくれます。その後「オオガキ」という道具で消火の場へかき運び、「コガキ」を使って均一にかきならします。
・「消火」
 最後に「にわ」と呼ぶ場所で土と灰を混ぜた「ごへい」(消火のための白い灰)を丁寧にかけ、山盛りにして置きます。
 
 まさにこの時の灰こそが白炭の表面をその名の通り白くしているものの正体だったわけです。
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