北杜市のスロ−ライフな歩き方

第9回 【三代校舎と蔵の里・津金 2006.4.1】

〜歴史降り積む山里をエコ・ウオーク〜

(歩行時間1時間30分)

 
 近頃エコ・ツーリズム、エコ・ツアーという言葉をよく耳にする。言葉自体は前からあったが、平成15年、小池環境大臣が議長となってエコ・ツーリズム推進会議を開催してから一般的となった。「来訪者に、地域の自然、歴史、文化などを体験・学習していただくことを内容として、地域の資源を損ねることなく、持続的に楽しんでいただく観光のあり方をエコ・ツーリズムと言い、その考え方に基づいて実践されるツアーの形態をエコ・ツアーと言う」(山梨県観光資源課 副主幹 川元修)。文章に書くと難しいが、自然と歴史を愛する人達なら昔から自ずとその様な行動をとっていたはずで、特にあらたまった思想や行動形態で はない。
 しかし近年、観光と環境の両立が著しく困難になって来たとの認識を誰もが持つようになってきた。理由は色々考えられるが、これは一旅行者、一業者だけの問題ではなく、地域の住民と行政が深く関わりを持ちながら改善に取り組むべき段階に来ているとの判断を、国がしたのである。その取り組みがエコ・ツーリズムという考え方の普及である。
 つい先日行われた北杜市観光協会設立総会でも、エコ・ツーリズムへの取り組み方の記念講演が行われた。いよいよ北杜市にも新しい観光の波が押し寄せてきた。
 

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 さて、春である。
 北杜市は桜で有名な場所が数多い。 小淵沢・新田のオオイトザクラ、大泉・谷戸城址、長坂・清春白樺美術館、武川・山高の神代桜、明野・千本桜等など枚挙にいとまがない。今回歩く津金の里も、その一つ だ。津金には明治大正昭和の三代校舎が残されている。旧津金学校と呼ばれるその校舎は現在「おいしい学校」や「郷土資料館」等に再生されている。その旧校庭を囲むのが樹齢60年のエドヒガンやソメイヨシノだ。この桜は春遅い山里でひっそりと咲いていたが、「おいしい学校」が出来て以来、人口に膾炙することになった。
 北杜市の桜の特徴の一つは、立ち位置を変えれば背景が八ケ岳にもなり南アルプスにもなることだ。借景は常に冠雪の連山である。雄大というより他はない。前景は時に菜の花、時にチューリップ、時に美術館、時に城跡、という具合で、自然や建物との絶妙なバランスはそれぞれに個性があって見事である。津金の里の桜も例外ではない。

歴史資料館となった明治校舎・太鼓楼からの眺めはお奨めだ。遠くに白い雪を載せた南アルプスが青く一直線に浮かんでいる。その下は桜並木である。この並木にピンクの花が咲き揃った場面を想像して欲しい。

ふりかえって三代校舎を背景にした桜もなかなか絵になる。その季節はあと数週間でやってくる。

だが今回の里歩きは桜が目的ではない。

桜は「時」を象徴する木である。降り積もった時間が木という形に凝縮したかのような桜の老木。新しく積もる「時間」の為に席を譲って散るかのような花びら。時間のゆったりと流れるこの地で起きたこと、あったことを桜は全て知っているのではないか。今回は縄文時代からの人々の営み、武田 の時代の里、現代の賑わいを演出した「おいしい学校」など、何千年も連綿と続く里山の歴史と文化の魅力を 、桜をダシに探しに行こうと言うワケである。

東西1里、南北1里十町の里は、歩いてみたら時間軸にも空間軸にも奥深く裾広く、「自然」と「歴史文化」に満たされた豊かな里だった。まさにエコツアー、エコウオークにふさわしい地がそこにあったのだった。


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