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きょうから9月。八ヶ岳南麓の林をすり抜ける風の音も一段と秋の気配を濃くしています。どこまでも澄み切った空を囲む八ヶ岳、茅ヶ岳、甲斐駒ヶ岳の山々。遠くに富士を眺めながら、ゆっくりと里山を歩く贅沢を味わってみませんか。 |
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9月1日と言えば二百十日。農家では台風などの災害に備える日、ということになっています。谷川の小さな四角な学校に「どっどどどどうど どどうど どどう」と風が吹いてきたのもちょうど9月1日でした。「八ヶ岳」も登場する宮沢賢治の「風の又三郎」の元になった「風野又三郎」の始まりです。豊かな自然の中でのびのびと生活する子どもたちが、風野又三郎という赤い髪に鼠色のマントを着た”風の精”と突然出会い、二百二十日までの10日間を一緒に過ごす様子をミステリアスに、そしてコミカルに描いた作品です。 |
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ちょっと意地悪な又三郎にいたずらされて「うわぁい、又三郎、汝などぁ、世界に無くてもいいな。うわぁぃ。」と怒る五年生の耕一に、又三郎はその理由を一つ一つ立て続けに言わせます。言葉に詰まった耕一が
「それがら、風車もぶっ壊さな。」と言うと、「風車ならちっとも僕を悪く思っちゃいないんだ。うそと思ったら聴いてごらん。お前たちはまるで勝手だねえ、僕たちがちっとばっかしいたずらすることは大業に悪口を云っていいとこはちっとも見ないんだ。それに第一おまえのさっきからの数えようがあんまりおかしいや。うう、ううてばかりいたんだろう。おしまいはとうとう風車なんか数えちゃった。ああおかしい。」と又三郎に大笑いされますが、困った、困ったで怒っていたことを忘れてしまった耕一も一緒に笑い出します。 |
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「風野又三郎」は山梨や福島・新潟・長野に言い伝えがある「風の三郎」伝説とピッタリ、イメージが重なります。
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北杜市高根町の奥に「風きりの里」と呼ばれているところがあります。「風きり」とは防風林のことです。八ヶ岳から吹き降ろしてくる季節風と、冬の厳しい寒さを少しでも防ごうとする先人の智恵でした。昔は風きりの松1本切っただけで打ち首というくらい、きびしく守られていたそうです。だからでしょうか、今でも立派な赤松の防風林が残されています。 |
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この地域から見る八ヶ岳は右に赤岳、左に権現岳と一段と厳しい山容です。特に左にそびえる権現岳は昔「風の三郎岳」と呼ばれて、ここから吹降ろす風はものすごかったそうです。そこで「風の三郎社」を祭ったのでしょうね。鎌を板にうちつけてそれを風の方向に立て掛けておくという、こわいような風除けのおまじないもあったといいます。
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ここにはかつて「三社まいり」という風習がありました。雨乞いを「八ヶ岳神社」に、晴天を「日吉神社」に、暴風よけを「風の三郎社」に、それぞれ集落の代表が毎日当番として代参したそうです。 |
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三社まいりウォ−キングに出かけましょう。二百十日の厄日に八ヶ岳にも舞い降りた風野又三郎の面影と、風がもたらした文化遺産を童心に戻って、オソルオソル、ワクワクしながら探してみてはいかがでしょうか。「風野又三郎」がどこかへ姿を消してしまう二百二十日が来る前に。 |
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