北杜のスローライフな歩き方

第2回 【信玄の棒道と湧水の里】

〜歴史ロマンに思いを馳せつつ歩く秋の山麓〜

2005年 9月15日


 今回歩くのは、青いイガグリが道に転がり始めた八ヶ岳山麓の道です。武田信玄がつくったとされる「棒道」をご案内いたします。信玄が信濃攻略の為につくった最短距離の道が、まるで一直線の棒のようであったことから「棒道」と呼ばれています。
 近年この「古道」については研究が進み、果たして本当に信玄が利用したものか、果たして信玄の時代のものか等、様々な疑問が提唱されています。史実と観光目的の説明が異なっているのではないかという指摘も出てまいりました。しかし、このことがかえって私たちには想像の楽しみを与えてくれています。

 ツタウルシも紅葉し始めた山麓の初秋を辿ってみましょう。 歴史ロマンのあれこれを想像しながら歩けば、里歩きが一層楽しいものとなるでしょう。

 その前に、「どっこいしょ、ひと休みでございすよ」という言葉を覚えてください。棒道を歩く時のおまじないです。

 棒道にはその昔、山犬が出没し、通行人たちはよく「送り犬」につきまとわれたという。
 送り犬は人が倒れると飛び掛って食うから、もしつまづいて転んだら
 「どっこいしょ、ひと休みでございすよ」と必ず犬に声をかけるとよいそうだ。
 そうすれば、食われず済む。
 村の近くに来たら、送り犬に「ご苦労でごした」と言えば、いつとなく離れてしまうという。
 又、煙草の火を見せればにげてしまうそうだ。

 これが有名な「棒道の送り犬」の話です。送り犬の話は形をかえて八ケ岳山麓のそこかしこに残っています。新田次郎に「山犬物語」という一編があります。これは大変おそろしい話ですが、八ケ岳にまだオオカミが生きていた頃の話です。山犬とは狼のことなのです。
 現在日本狼は上野博物館にひとつ剥製があるだけになってしまいましたが、狼の恐怖とも闘いながら歩いた往時の旅人や商人の気持ちなどにも思いを馳せながら、歩いてみましょう。
 では、おまじないの言葉をわすれずに。
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