ホタルの光りについての「なるほど編」
 
1)発光の仕組み
 ホタルの体内に発光物質と発光酵素があります。ルシフェリンとルシフェラーゼと呼ばれています。それに微量のリンやマグネシウムなど他の化学物質と酸素が、常温で酸化反応をおこすためだと言われています。この仕組みは極めて効率がよく、使われる物質の99%が光りに変ります。つまりほとんど熱を出しません。しかも、発光によって生じた生成物は瞬時にしてリサイクルされます。従ってごく微量の材料で長時間の発光が継続されるのです。人間社会ではまだ実現されていないエネルギーシステムです。
 
2)光りの強さと波長
 1匹のホタルが目一杯光りを発したときの明るさは、およそ3ルックスといわれています。人が本を読むときの明るさは200ルックスくらいだといわれていますから、ホタル70匹くらい集めれば本を読める理屈です。が、一斉に光って貰わねばならず、しかも点滅してますから、実際には本を読むことはかなり困難でしょう。
 人間の目で見える光は780ナノmから400ナノm(赤から紫の虹の七色の範囲といっていいでしょう)です。780ナノm以上を赤外線といい、400ナノm以下を紫外線といます。ホタルはそれよりもやや幅がせまく、680ナノmから480ナノmです。したがって、ホタル観察会では懐中電灯に赤いセロファンをかけていくことをお薦めします。そのすることによってホタルには見えにくくなるからです。
 
3)ホタルの光りは「言葉」です。
 「ホタルは明らかに自らの意思で光りをコントロールしている」(矢島稔)
 ・飛翔発光/飛翔しながらおだやかに、まるで光りの糸でも紡ぐかのように、ゆったり弧を描きながら光る光り方
 ・フラッシュ発光/近くに雌がいるとき、雄がそばの草などに舞い降りて、触覚をピンと立て足をギュっと踏ん張ってまるで「お前が好きだ!」と言っているかのように、そしてちょうどストロボでも焚いたときのように強くまばゆく発光する光り方。雄はこれを約2分継続するが、その間メスに交尾の意思があれば1回だけフラッシュ発光する。なければオスは寂しくその場を離れるのです。
 ・刺激発光/ホタルが草の上などを歩いていると、突然強風が吹きつけ、体のバランスが崩れたりする時などに「お〜っと!」と言わんばかりに1回だけパーァっと長めに光って消える光方。
 ・微光/夜半、休んでいるホタルに近付いてみると、全く光りを消しているわけではない。ごく弱い光を断続的に細かく明滅させています。
 
4)ホタルの方言
 一般に東日本のホタルは4秒間隔、西日本のホタルは2秒間隔で発光するといわれています。大雑把にいうとフォッサマグナ線が境です。「言語が違う」わけですから同じホタル同士でも話が通じず、例えば九州のホタルを大量に捕まえて東京に放しても結婚できません。たとえばスズムシ愛好家などが互いに虫の交換などをしていますが、虫のためにあってはならないことです。
 オオムラサキセンターの跡部さんは「このあたりは3秒間隔のホタルとなっています」といわれます。「中間種」としてのホタルは自然発生するでしょう。